3.11

「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2

→English

宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その2です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

2.国会事故調の根底を貫いた基本姿勢

ここで国会事故調の話に少し触れたい。
この委員会委員長の辞令を受けるにあたって、私の国会でのあいさつに運営の基本姿勢は示されている(註1)。私が委員長として、この「憲政史上初」という「国会事故調」をどう認識しているのか、国会という立法府、「国権の最高機関」から負託されたという事実の重みをどう捉え、どう実行していくのか――委員長の挨拶として、冒頭での「3分間」と最後の「2分間」で、国会議員、行政府の人たち、他の政府関係者、東電他の事故の関係者ばかりでなく、国会での辞令交付という最も重い「公」の場で、国民にも、各委員にも知っておいてもらうことが、極めて重要と考えていたからだ(何しろ委員の皆さんといろいろ議論している時間の余裕さえもなかったのだ)。

国会での辞令交付の時に私は、「国民」「未来」「世界」という3つのキーワードを共有し、「国民の、国民による、国民のための委員会」「過ちから学ぶ未来に向けた提言」「この事故を世界と共有する責任」、この3つの基本原則にのっとって、6か月にわたる活動をする旨述べた。

そして、当日最後の委員長挨拶で以下の要旨を述べた。

「今日は12月8日、真珠湾攻撃70周年の日である。毎年8月、太平洋戦争を経験し、生き残った方々の証言等について特集した番組がテレビで放送される。そこでは、その時々の責任ある立場の人たちの『わかっていたけれども言えなかった』という趣旨の発言が繰り返し出てくる。
この福島第一原子力発電所事故に際しても、元○○という肩書の方の発言が収録された特集番組がテレビ等で放送されている。そのコメントについて多くの国民が、『太平洋戦争に関する証言』とよく似ている、と直感的に感じていると思う。日本の責任ある立場の人たちは、また同じことを繰り返している、失敗から学んでいないのか、と。このことを考えてみたい」

註1.
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025117920111208003.htm
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=41488&media_type= (両院議連合同協議会)

→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その3
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その4
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その5
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(1)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(2)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その7
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その8

講演スケジュール – 2014年9月前のページ

講演スケジュール – 2014年10月次のページ

関連記事

  1. イノベーション

    私の受賞お祝いの会と吉川先生の「3つの層」の言葉

    →English去年、私が委員長を務めた”憲政史上初”という福…

  2. フクシマ

    「異論」を言うこと、言わせること

    →English"日本の憲政史上初めて"として立法府に設立され…

  3. 3.11

    3月11日、福島原発事故から5年、「規制の虜」を出版、そしてコーネル大学へ

    →Englishあの悲惨な東日本大震災と福島原発事故か…

  4. キャリア

    研究者のモラル、小保方さんが開けたパンドラの箱

    →Englishかなり下火になっているようには見えますが、研究…

  5. イノベーション

    慶応義塾湘南藤沢キャンパス(SFC)で「Global Science and Innovation」…

    →English慶応義塾の湘南藤沢キャンパス(SFC)の今年の入学式…

  6. キャリア

    いろいろな講演、そしてL’Oreal賞のお祝い、国会事故調の若者たちの企画

    いろいろな会でお話しする機会を頂きます。特に国会事故調を終えてから…

  1. ニュース

    『医療白書 2007年度版』が出版されました。
  2. facebook

    Recent Posts on Facebook(2017/6/2)
  3. グローバル

    Wiston House, West Sussex
  4. インフォメーション

    “Lesson Learned from Fukushima Nuc…
  5. グローバル

    科学者の社会と世界、京都と神戸の会議
PAGE TOP